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フェスティバル/トーキョー12

女司祭―危機三部作・第三部

女司祭―危機三部作・第三部

© Krétakör - Máté Tóth Ridovics

ハンガリーの演出家・アールパード・シリング率いるクレタクールが、3年の活動休止期間を経て発表した『危機三部作』(2011年)は、古典戯曲の上演を続けてきた彼ら自身の転換点であると同時に、映画、オペラ、演劇と異なる形式を使って現実の問題にアクセスする、実験的な企画でもあった。
その掉尾を飾った第三部『女司祭』は、都会育ちの女優が演劇教師となり、民族問題に揺れる田舎町に赴任したことから起きる波紋を描いた演劇作品だ。生徒役には、ルーマニア・トランシルバニア地方でのワークショップに参加した子供たちが扮し、劇中で自らの生活体験を語る。都市と地方の格差や価値観の断絶、日常生活に潜む差別意識や暴力......子供たちの暮らす村の映像をも交えた舞台は、虚構と現実をないまぜにしつつ、地域が抱える課題をあぶり出す。子供たちの一人が客席に向かって言う。「ここで今、何が起こっていると思う?」。そのまっすぐな問いこそが、クレタクールのスタイルだ。

日程
2012年10月27日 (土)~30日 (火)
ステージ数
4
会場
シアターイースト
作・演出

構成・演出 アールパード・シリング

出演

ローラント・バルタ、カールマーン・ビーロー、リラ・シャーロシュディ
シャ―ンドル・テルヘシュ、マールタ・バイカ、レヴェンテ・バルタ
エメシェ・ボルディジャール、アンナマーリア・ダロー、ヨラーン・ドボンディ
キンガ・カタリン・ガーボル、キケリッチ・カタ・イムレ=ムンテアン
エステル・インツェ、アッティラ・コマーン、ヤンカ・コロディ、エリカ・ルカーチ
エルジェーベト・マクシャイ、アーグネュ・マールト、ティーメア・タンコー

プロフィール

アールパード・シリング Árpád Schilling

アールパード・シリング

© Krétakör - Máté Tóth Ridovics

1974 年ハンガリー生まれ。演出家、Krétakör(クレタクール / 白墨の輪)主宰。19 歳で演出活動を始め、95 年、ブダペストの演劇と映画大学で学び始めると同時にク レタクール劇団を創立。1998 年~ 2000 年にブダペストのカトナ・ヨ・ジェフ劇場で 客演出家を勤め、1999 年イシュトヴァーン・タシュナーディによる『Public Enemy』 の演出で「次世代演劇プロ」部門にてハンガリー批評家賞を受賞。その後、国内外の 市立劇場から演出家としてのオファーを数多く受けるが、全て断り、プロデュサーの ガシュパール・マーテーとともにクレタクールを中心に活動を続けることを決める。 この時期、特にチェーホフ作「かもめ」の演出で国内外で注目浴び、数多くの演劇賞 を受賞する。2008 年、その成功の渦中に古典戯曲の演出を止め、劇団活動を一時中 止する。 その後、クレタクールの活動を新しい方針に基づき再開。社会的文脈において芸術は どんな意味を持てるかという問いを出発点に、他民族に対する偏見やコミュニティの 葛藤に直面するハンガリーやルーマニアの田舎町や村に行き、そこに住む若者たちと の協同製作を開始。その結果の一つが、第一部が映画、第二部がオペラ、第三部が演 劇という形式の『危機三部作』(11 年)である。

主催:フェスティバル/トーキョー

共催:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)

製作:クレタクール

ワークショップパートナー:オショノー劇場ワークショップ、ミハーイ・ファゼカシュ

協力:トラフォー現代芸術館、ハンガリー国立文化基金(NKA)ベトレン・ガーボル基金、ハンガリー国家人材資源省(EEMI)

後援:駐日ハンガリー大使館



*本公演は東京文化発信プロジェクト事業です

東京文化発信プロジェクト

【東京文化発信プロジェクトとは】東京文化発信プロジェクトは、「世界的な文化創造都市・東京」の実現に向けて、東京都と東京都歴史文化財団が芸術文化団体やアートNPO等と協力して実施しているプロジェクトです。都内各地での文化創造拠点の形成や子供・青少年への創造体験の機会の提供により、多くの人々が新たな文化の創造に主体的に関わる環境を整えるとともに、国際フェスティバルの開催等を通じて、新たな東京文化を創造し、世界に向けて発信していきます。