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2014-2015 東京芸術劇場 海外オーケストラシリーズⅢ

フィルハーモニア管弦楽団

フィルハーモニア管弦楽団

黄金時代を迎えた巨匠&名門
クールで熱いヒラリー・ハーンとの競演
颯爽と美しいサロネンの「英雄」

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 エサ=ペッカ・サロネンが、2008年から首席指揮者/アーティスティック・アドヴァイザーを務めるフィルハーモニア管弦楽団を率いて、東京芸術劇場に2年ぶりに登場する。
 前回の日本ツアーは、初演から100年のストラヴィンスキー《春の祭典》やポーランドのルトスワフスキはじめ、古典から自作品まで、サロネンこだわりの個性的な選曲で、どのプログラムにも驚きと発見があった。なかでもベートーヴェン。サロネンといえば、どんな複雑なスコアでも見事に捌いてしまう近現代作品が得意な指揮者とのイメージが強いが、ベートーヴェンの作品では、ピリオド・アプローチを意識しながら、颯爽と刺激的な音楽を作り出した。
 「ベートーヴェンの音楽は、彼が生きていた時代のどの音楽よりも未来に通じている」とその魅力をサロネンは語る。今回の来日では、革新的な作品と位置づけるベートーヴェンの《交響曲》第3番「英雄」を取り上げる。サロネンがこの慣れ親しんだ名曲のスコアをどのように読み解き、新鮮な驚きを与えてくれるのか楽しみである。
 協奏曲のソリストには、ヴァイオリンのヒラリー・ハーンを迎える。かつての天才少女も、いまや世界で活躍するトップアーティスト。東京芸術劇場には2013年のネルソンス指揮/バーミンガム響のソリストとして登場し、完璧な技巧と、豊かに香り立つヴァイオリンの音色で聴衆を魅了した。今回のブラームスの重厚な大作《ヴァイオリン協奏曲》は、サロネンの指揮ならと演奏を承諾したという。ヴァイオリニストとしてさらなる高みを目指すハーンにとっても挑戦であり、今後も語り継がれる演奏になるだろう。さらにシベリウスの「トゥオネラの白鳥」は、フィンランドのお国ものというだけでなく、近年は「モダニズム」の視点からの解釈に注目が集まる作曲家である。この作品にも新しい光が当てられることになろう。本国でもますます評価の高まるサロネンと名門オーケストラの黄金時代に期待したい。

柴辻純子(音楽評論家)

日程
2015年03月07日 (土)14:00 開演(ロビー開場13:00)
会場
コンサートホール
曲目

シベリウス/交響詩「トゥオネラの白鳥」 『レンミンカイネン』組曲 op.22 より 第2曲

ブラームス/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77
ベートーヴェン/交響曲第3番 変ホ長調 「英雄」 op.55

※出演者・曲目等が変更になる場合がございます。

出演

指揮:エサ=ペッカ・サロネン
ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン
管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団

プロフィール
エサ=ペッカ・サロネン(首席指揮者&アーティスティック・アドヴァイザー) 
Esa-Pekka Salonen, Principal Conductor & Artistic Advisor Philharmonia Orchestra
エサ=ペッカ・サロネン

© KASSKARA/DG

 ヘルシンキ生まれの指揮者・作曲家。シベリウス・アカデミーに学び、1979年、フィンランド放送響を指揮して指揮者デビュー。 1985年~95年スウェーデン放送響の首席指揮者、また1992年~2009年までロサンジェルス・フィルの音楽監督を務め、桂冠指 揮者となった。
 2008年9月フィルハーモニア管弦楽団の首席指揮者及びアーティスティック・アドヴァイザーに就任。
 多数の現代作品の初演をはじめとする現代音楽に対する解釈もきわめて高く評価されている。また、受賞暦としてキジアーナ音楽院からシエナ賞、英国のロイヤル・フィルハーモニック・ソサイエティからオペラ賞・指揮者賞、フランス政府から芸術文化勲章「オフィシエ」等がある。

ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン) Hilary Hahn, Violin
ヒラリー・ハーン

© Olaf Heine

 アメリカ・ヴァージニア州のレキシントンに生まれた。3歳でボルティモアに移り、ピーボディ音楽院のスズキ・メソード・プログラムでヴァイオリンを開始。10歳でフィラデルフィアのカーティス音楽院に入学。以降17歳までイザイ最後の門下生として著名なヤッシャ・ブロツキーに師事した。

 カーティス音楽院入学の翌91年にオーケストラ・デビュー、14歳の時、ハンガリーでI.フィッシャー指揮/ブダペスト祝祭管と共演して国際的なデビューを飾り、さらに95年マゼール指揮/バイエルン放送響との共演でドイツ・デビュー、96年フィラデルフィア管との共演でカーネギー・ホールへのデビューを果たした。
 以後ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、南北アメリカなど世界各地でリサイタルを行い、多数の著名オーケストラと共演。2010年後半~11年には、4大陸の56都市で公演する精力的なリサイタル・ツアーを行っていたが、2011年4月の日本ツアーが、東日本大震災で取り止めになった後、アメリカで4回に亘って慈善コンサートを企画し、震災の復興支援を行った。このように、彼女は世界の様々な出来事や現代文化における音楽の貢献度を高めるべく努力を続けている。
フィルハーモニア管弦楽団(管弦楽) Philharmonia Orchestra
 1945年EMI( 当時の英コロンビア)の芸術部長W.レッグによって創設。
 その後R.シュトラウス、カラヤン、トスカニーニ、フルトヴェングラー等の巨匠を指揮者に招き、その名演と共に一躍欧州楽壇の注目の的となった。
 特にカラヤンとは多くの録音を残し、欧米各地に演奏旅行も行った。その後クレンペラー、ムーティ、シノーポリが首席指揮者となり、90年はシノーポリ、2007年はインバルの指揮により、東京で『マーラー・チクルス』の公演を行なった。
 1997年にドホナーニが首席指揮者に就任。さらに2008年エサ=ペッカ・サロネンが首席指揮者及びアーティスティック・アドヴァイザーに就任。
 現在はサロネンの他に終身名誉指揮者にドホナーニ、桂冠指揮者にアシュケナージという陣容となっている。

主催:東京芸術劇場 (公益財団法人東京都歴史文化財団)