
戦後70年企画「戦後池袋―ヤミ市から自由文化都市へ―」
- 日程
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【シンポジウム】 2015年09月12日 (土)
【展示】 2015年09月14日 (月) ~09月22日 (火)
【屋外イベント】 2015年09月18日 (金) ~09月20日 (日) - 会場
戦後池袋 ヤミ市から自由文化都市へ
昭和20年4月13日、所謂、城北大空襲は、池袋を焼き尽くした。
8月15日終戦。この時、壊滅的打撃からいち早く立ち上がったのは通称ヤミ市と呼ばれたマーケットである。それは、灰土の中に点された熱い池袋人の思いの結晶であった。闇の向こうに底光りがあり、大正ロマンが残光を繋いだ。
立教大学・自由学園など自由教育の地盤、アジアからの熱いまなざし、宣教師たちの西欧文化移入、絆に紡がれた雑司ケ谷の文化遺産がこの地にあった。
池袋は自由文化都市の先進性を伝統としていたのである。ヤミ市を、人は自由市場と呼ぶ。ヤミ市の底深く流れていたのは、この自由への思いである。
自由は常に渇望から生まれる。人々の渇望の坩堝がヤミ市であった。訪れた平和のエネルギーがこの地にあった。しかし、平和への思いの風化は進んだ。
私たちはこのエネルギーの所在をしっかりと見つめなおしたいと考えた。
忘れてはならないと考えた。
ここで、世界を牽引する日本のマンガ文化・アニメ文化の担い手が育まれ、池袋モンパルナスの若き芸術家の魂が躍動し、江戸川乱歩等の大衆文化が胎動した。笑いは楔を放ち開放され、映画館に鈴なりになり、歌謡曲やジャズと一緒に、恋は町にあふれ、躍動のリズムが劇場に鳴り響いた。
昭和30年代まで、池袋西口のヤミ市は、存続した。
池袋のヤミ市が担ったのは、飲食のみではない。衣料品、おもちゃや模型店が並び、多くの婦人子供の足を止めたという。他のヤミ市以上に庶民の生活に密着していたのである。
戦後70年を迎える今日、文化創造都市池袋は大きな節目を迎えた。
この企画は「池袋学」の上に戦後池袋の平和への原点を刻む試みである。

2015年6月
立教大学名誉教授・自由学園最高学部長
「池袋=自由文化都市プロジェクト」実行委員長
渡辺憲司
日程
【シンポジウム】 2015年09月12日 (土)
【展示】 2015年09月14日 (月) ~09月22日 (火)
【屋外イベント】 2015年09月18日 (金) ~09月20日 (日)
ヤミ市
戦後すぐ、焼け跡にバラック建て長屋式の露店が次々に現れた。連鎖商店街・戦災復興マーケットと名づけたその多くは、統制対象の品をヤミ取引で販売するため「ヤミ市」と呼ばれた。ヤミ市は飲み屋街、無法地帯という印象があるが、一方で、配給だけでは暮らしていけない時代に、生きていくうえでの必需品を供給し、人々に働く活力をあたえる食事や酒を提供する場でもあった。そこには戦後経済復興をなしとげる逞しい力がみなぎっていた。
池袋のヤミ市は鉄道の要所として賑わった。池袋東口は昭和27年末までに解体されたが、西口では昭和37年まで存続した。

豊島新聞社提供

松井一彦氏提供
シンポジウム
「戦後池袋の検証―ヤミ市から自由文化都市へ」
戦後の池袋は、ヤミ市と呼ばれるマーケットを中心に都市の活力を蓄えた。食料や物資を求めて多くの人々が集い、そこにさまざまな交流が生まれた。ヤミ市の世界は、混沌であると同時に新たな活力の源泉でもあった。また、日本が敗戦からの復興を遂げた後にも池袋の街にはヤミ市が残り、自由で柔軟な都市文化の基点となった。今回のシンポジウムでは、戦後70年という地点から池袋の歴史と魅力に迫り、“自由文化都市”としての未来を考える。
日程 | 2015年9月12日(土)14時~16時 |
講師 | 川本三郎(評論家) マイク・モラスキー(早稲田大学教授) 吉見俊哉(東京大学教授) 司会:石川 巧(立教大学文学部教授) |
会場 | 立教大学 池袋キャンパス 11号館地下1階 AB01教室 |
申込方法 |
お申込みフォームにご記入のうえ送信ください。 ※お申込み時にいただく個人情報は、本セミナーのお申込み以外の目的には使用いたしません。要事前申込。 |
料金 | 無料 |
お問合せ | 東京芸術劇場 事業企画課 事業調整係 03-5391-2116 Mail:ikebukurogaku@ml.rikkyo.ac.jp(@は半角の@に置き換えてください) |
展示
- 「戦後池袋~活力の記憶を辿る」
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松蔭浩之による空間ディレクション
ヤミ市時代の記録や記憶を多彩な展示でご覧いただく。写真パネル、ヤミ市のスケッチ、ジオラマのVTR、ラジオ音源、カストリ雑誌などによって当時の世相・文化を紹介する。オープニングでパルコキノシタによるライブ・ペインティングも行う。
■ギャラリートーク ※各回13時~14時半を予定(14日は14時から)
《プログラム案》
9月14日
「今、ヤミ市を考える意義(仮)」
渡辺憲司(立教大学名誉教授、自由学園最高学部長)
「戦中の文化人:江戸川乱歩と武井武雄 」
平井憲太郎(東京都ユネスコ連盟会長)+山岸吉郎(イルフ童画館館長)
+山田智稔(NPO法人「としまの記憶」をつなぐ会代表理事)9月15日
「女学生の見た空襲とヤミ市の記憶」
上原すゞ子(千葉大学名誉教授)+伊藤縫子9月16日
「少年の記憶に刻まれたヤミ市」
海保洋一(NPO法人はばたけ千早副理事長)+NPO法人はばたけ千早Aチーム9月17日
「戦前・戦後の生活とヤミ市」
高木継夫(NPO法人はばたけ千早理事長)+NPO法人はばたけ千早Bチーム9月18日
「私の描いたヤミ市と暮しの記憶」矢島勝昭(「モチの木工房」主催)9月19日
「記憶に残る暮らしとヤミ市」内山數子+田原俊夫
「大学生が考察した池袋とヤミ市論」古田土紗季9月20日
「ヤミ市の記憶と池袋西口の発展」齋木勝好(豊島区観光協会会長)9月21日
「ヤミ市での商売について」
尾上多喜雄(豊島区長会連合会相談役)+ 内田嘉行9月22日
「歴史として見る池袋―ヤミ市とそこからの出発=副都心形成へ」石榑督和
「再び、今、ヤミ市を考えることについて」山田智稔
日程 | 2015年9月14日(月)~22日(火・祝)10時~19時(14日のみ13時から) |
会場 | 東京芸術劇場 5階 ギャラリー1 |
料金 | 無料 |
お問合せ | 東京芸術劇場 事業企画課 事業調整係 03-5391-2116 |
- 「戦後池袋の住人・江戸川乱歩が視た世界」
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江戸川乱歩の「貼雑年譜」の未刊行巻を紹介。乱歩が撮影した映像フィルムの上映や、土蔵内の書棚をパネルでご覧いただく。
日程 | 2015年9月14日(月)~22日(火・祝)10時~19時(14日のみ13時から) |
会場 | 東京芸術劇場 5階 ギャラリー2 |
料金 | 無料 |
お問合せ | 東京芸術劇場 事業企画課 事業調整係 03-5391-2116 |
- 「雑誌『婦人之友』に見る市民生活」
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激しい空襲で焼け野原となった池袋。奇跡的に残った婦人之友社と自由学園明日館からは、池袋駅が一望できたという。戦時中も発行を続けた『婦人之友』の誌面から、昭和20年の市民生活を紹介する。
日程 | 2015年9月15日(火)~22日(火・祝) 10時~16時(入館は15時30分まで) 休館日:月曜 |
会場 | 自由学園明日館 |
料金 | 400円 |
お問合せ | 自由学園明日館 03-3971-7535 |
- 「戦中・戦後の立教学院」
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池袋とともに歩み、「自由の学府」として発展してきた立教学院。その戦中・戦後の姿を、近隣の様子と合わせて紹介します。
日程 | 2015年9月14日(月)~22日(火・祝) 10時~17時 |
会場 | 立教学院展示館(豊島区西池袋3-34-1 メーザーライブラリー記念館2階) |
お問合せ | 学校法人立教学院展示館事務室 03-3985-4841 |
- 旧江戸川乱歩邸「旧江戸川乱歩邸特別公開―戦後乱歩―」
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江戸川乱歩が、昭和9年から、70歳で死去する昭和40年まで、約30年間暮らした家です。書庫として使用した土蔵、増築した洋風の応接間などを公開しています。愛用品や書籍の展示もおこなっています。イベント期間には、少年探偵団シリーズなど、おもに戦後に発表された作品を中心とした特別展示を予定しています。
日程 | 2015年9月14日(月)~22日(火・祝)10時30分~16時 会期中は無休 |
屋外イベント 会場:池袋西口公園および野外ステージ

豊島区郷土資料館常設展示室ヤミ市模型(部分)
プロジェクト全体のテーマは、池袋ヤミ市の検証を通じて「戦後のエネルギーの源を振り返る」ことであり、そのために当時の雰囲気や復興に向かう戦後大衆文化の活力を表現することに努める。また地元商店街・企業・町会・諸団体等との協働によって池袋西口の賑わいづくりに寄与する。
- ①ヤミ市風“自由市場” 池袋西口ホッピー祭り
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1948年(昭和23)に東京赤坂で生まれ、ヤミ市の時代に焼酎割りとして愛飲され、復興をめざす大衆を支えた“ホッピー”を中心に飲食物のブースを設置し、珍しい樽詰めホッピーや、ホッピーを使用した本イベントオリジナルカクテルも提供する。併せて、地元池袋の商店街を中心に、ヤミ市が鉄道各社による物資運搬等に支えられたことに鑑みて豊島区友好都市等の物産展等を行う。
日程:9月18日(金)15時~20時/19日(土)11時~20時/20日(日)11時~19時
特別協賛:ホッピービバレッジ株式会社
- ②池袋昭和懐メロステージ
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歌謡曲、オールディーズ、ジャズ、カントリー、ブルースなど、戦後を彷彿させる音楽の生バンド演奏を行う。
日程:9月18日(金)16時~20時/19日(土)12時~20時
出演者:塩谷晃とコナ・アイランダーズ(ハワイアン)/KHAMSHINカムシン(オールディーズ)/加藤町会長バンド(カントリー)/You-Yu Bounce(ジャズ)/東京シネマパラダイスオーケストラ/キミソラ(ブルース)/Eriko(昭和歌謡)/やなかもなか、谷名寛二郎、イッツフォーリーズ(アイドル、ファンク、ロック)/キミソラ(ブルース)/cryspy sounds(タップダンス)
コーディネート:有田みのる(You-Yu Bounce)
- ③池袋昭和歌謡のど自慢2015
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「昭和歌謡」をコンセプトとした素人カラオケ大会。昭和63年以前に発表された曲から各自好きな曲を選び、自慢の喉を競い合う。優勝賞金5万円の他、パフォーマンスに秀でた出場者にも賞金・記念品を多数用意。出場希望者の募集は事前に行う。
日程:9月20日(日)12時~19時
参加費:3,000円(募集人数80名)
募集期間:8月1日~31日
特別協賛:株式会社シン・コーポレーション、株式会社メロ・ワークス、株式会社第一興商、
一般社団法人日本音楽健康協会プロデュース:エンジョイシング 日本で唯一のカラオケ評論家® 唯野奈津実
特設サイト:http://s-nodojiman.com/
主 催:「池袋=自由文化都市プロジェクト」実行委員会
(豊島区、東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)、立教大学)
後 援:豊島区観光協会、池袋西口商店街連合会、立教大学校友会
特別協賛:ホッピービバレッジ株式会社、株式会社シン・コーポレーション、株式会社メロ・ワークス、株式会社第一興商、一般社団法人日本音楽健康協会、巣鴨信用金庫
協 力:NPO法人ゼファー池袋まちづくり、公益財団法人としま未来文化財団、都市出版株式会社、婦人之友社、新文芸坐、池袋演芸場、一般財団法人光文文化財団ミステリー文学資料館、一般社団法人落語協会、NPO法人「としまの記憶」をつなぐ会、豊島立教会、立教学院展示館、立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター、立教大学ESD研究所 (※順不同)
助 成:平成27年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業