戦後70年企画「戦後池袋―ヤミ市から自由文化都市へ―」

戦後70年の節目の年に、ヤミ市という歴史のターニングポイントを直視し、戦後日本の歩んできた道と〈自由文化都市・池袋〉の未来を考える
戦後池袋 ヤミ市から自由文化都市へ
昭和20年4月13日、所謂、城北大空襲は、池袋を焼き尽くした。
8月15日終戦。この時、壊滅的打撃からいち早く立ち上がったのは通称ヤミ市と呼ばれたマーケットである。それは、灰土の中に点された熱い池袋人の思いの結晶であった。闇の向こうに底光りがあり、大正ロマンが残光を繋いだ。
立教大学・自由学園など自由教育の地盤、アジアからの熱いまなざし、宣教師たちの西欧文化移入、絆に紡がれた雑司ケ谷の文化遺産がこの地にあった。
池袋は自由文化都市の先進性を伝統としていたのである。ヤミ市を、人は自由市場と呼ぶ。ヤミ市の底深く流れていたのは、この自由への思いである。
自由は常に渇望から生まれる。人々の渇望の坩堝がヤミ市であった。訪れた平和のエネルギーがこの地にあった。しかし、平和への思いの風化は進んだ。
私たちはこのエネルギーの所在をしっかりと見つめなおしたいと考えた。
忘れてはならないと考えた。
ここで、世界を牽引する日本のマンガ文化・アニメ文化の担い手が育まれ、池袋モンパルナスの若き芸術家の魂が躍動し、江戸川乱歩等の大衆文化が胎動した。笑いは楔を放ち開放され、映画館に鈴なりになり、歌謡曲やジャズと一緒に、恋は町にあふれ、躍動のリズムが劇場に鳴り響いた。
昭和30年代まで、池袋西口のヤミ市は、存続した。
池袋のヤミ市が担ったのは、飲食のみではない。衣料品、おもちゃや模型店が並び、多くの婦人子供の足を止めたという。他のヤミ市以上に庶民の生活に密着していたのである。
戦後70年を迎える今日、文化創造都市池袋は大きな節目を迎えた。
この企画は「池袋学」の上に戦後池袋の平和への原点を刻む試みである。

2015年6月
立教大学名誉教授・自由学園最高学部長
「池袋=自由文化都市プロジェクト」実行委員長
渡辺憲司
- 日程
- 2015年09月14日 (月) ~2015年09月22日 (火)
- 展示
- 「戦後池袋の住人・江戸川乱歩が視た世界」
江戸川乱歩の「貼雑年譜」の未刊行巻を紹介。乱歩が撮影した映像フィルムの上映や、土蔵内の書棚をパネルでご覧いただく。
日程 2015年9月14日(月)~22日(火・祝)10時~19時(14日のみ13時から) 会場 東京芸術劇場 5階 ギャラリー2 料金 無料 お問合せ 東京芸術劇場 事業企画課 事業調整係 03-5391-2116
- チケット料金
- 無料
- お問合せ
- 立教大学教学連携課 03-3985-2204
Mail:info@ikebukuro2015.com(@は半角の@に置き換えてください)
主 催:「池袋=自由文化都市プロジェクト」実行委員会
(豊島区、東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)、立教大学)後 援:豊島区観光協会、池袋西口商店街連合会、立教大学校友会
特別協賛:ホッピービバレッジ株式会社、株式会社シン・コーポレーション、株式会社メロ・ワークス、株式会社第一興商、一般社団法人日本音楽健康協会、巣鴨信用金庫
協 力:NPO法人ゼファー池袋まちづくり、公益財団法人としま未来文化財団、都市出版株式会社、婦人之友社、新文芸坐、池袋演芸場、一般財団法人光文文化財団ミステリー文学資料館、一般社団法人落語協会、NPO法人「としまの記憶」をつなぐ会、豊島立教会、立教学院展示館、立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター、立教大学ESD研究所 (※順不同)
助 成:
平成27年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業