芸劇リサイタル・シリーズ

小林愛実 ピアノ・リサイタル

日程
2024年7月10日(水)
会場
コンサートホール

2021年ショパン国際ピアノコンクール第4位受賞直後に行われた「VS Vol.1 反田恭平×小林愛実」以来、小林愛実が芸劇の舞台に”ソリスト”として帰ってきます。東京芸術劇場の豊かな響きのホールで、彼女の透き通るような音色、高い技術によって紡がれる音楽に酔いしれる、またとない一夜になるでしょう。


 同時代に生きる演奏家を聴く楽しみは、変化を追うところにもある。神童として幼少期に舞台デビューし、長きにわたって活躍し続ける小林愛実については、これまでその成長を目の当たりにしてきた方も多いことだろう。
 17歳でのアメリカ留学、2015年、2021年の2度にわたるショパン国際ピアノコンクールへの挑戦と入賞など、進歩のきっかけとなる出来事はこれまでにもあったと思われる。そんななかで最近、彼女自身も認めているのが、昨年出産を経験し、母になったことによる音楽的な変化だ。
 2021年のショパンコンクール後、共に入賞したピアニストであり、今では夫となった反田恭平とともに東京芸術劇場の「VS」シリーズに出演した小林。今回はソロリサイタルでこの舞台に戻り、シューベルト、モーツァルト、シューマン、ショパンを演奏する。
 小林は産休中から、出産後の自分の演奏がどうなるのか楽しみだと話していたが、実際、8ヶ月の休みを経て昨年末に復帰した後には「多くの方から、音楽が変わった、あたたかくなったという声をかけていただく」と話している。そもそも自ら共感する作品も変わったそうで、「優しさを感じる作品は、子供の顔を思い出して弾くのでスムーズに表現できる」とのこと。その意味で、シューマン「子供の情景」など、母になった新しい彼女を知るうえでぴったりのレパートリーといえる。
 そのほかの曲目も、シューベルト、モーツァルト、ショパンという、小林が長らく向き合ってきた作曲家ばかり。作曲家へのまなざし、作品へのアプローチ、何より根本的な音色や彼女が創る空気の変化を感じることを楽しみに、会場に足を運びたい。

音楽ライター 高坂はる香

日程

2024年7月10日(水)
開演(ロビー開場18:00)

会場

コンサートホール

曲目

シューベルト/即興曲集 D935
モーツァルト/幻想曲 ニ短調 K.397
シューマン/子供の情景 Op.15

ショパン/アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22

出演

小林愛実(ピアノ)

プロフィール

小林愛実 KOBAYASHI Aimi

© Hosoo Co.,Ltd.

2021年10月「第18回ショパン国際ピアノコンクール」 第4位入賞。
1995年山口県宇部市出身。3歳からピアノを始め、7歳でオーケストラと共演、9歳で国際デビューを果たす。
これまでに、スピヴァコフ指揮モスクワ・ヴィルトゥオーゾ、ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラ、ジャッド指揮ブラジル響、ポスカ指揮チューリヒ・トーンハレ管など国内外における多数のオーケストラと共演。
2010年14歳でEMI ClassicsよりCDデビュー。サントリーホールで日本人最年少となる発売記念リサイタルを開催した。翌2011年にはセカンドアルバム「熱情」をリリース。
2015年10月「第17回ショパン国際ピアノコンクール」ファイナリストとなった。
2018年4月、 ワーナークラシックスよりCD「ニュー・ステージリスト&ショパンを弾く」をリリース。同年8月には、ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭に出演し好評を得た。2021年8月 ワーナークラシックスより最新CD「ショパン:前奏曲集 他」をリリース。
フィラデルフィア・カーティス音楽院で、マンチェ・リュウ教授のもと研鑽を積んだ。
2022年3月、第31回出光音楽賞受賞。

主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場

協賛:スタインウェイ・ジャパン株式会社

インフォメーション

芸劇リサイタル・シリーズ
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