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ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

2015-2016 海外オーケストラシリーズⅡ

富士電機スーパーコンサート
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

富士電機スーパーコンサート<br>ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

名門楽団のサウンドを知り尽くしたヒメノが、
はかり知れない感動の世界を描き出す!

 

 1888年創立のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団は、「どのオーケストラがベストか?」といった類の投票を実施すれば、日本であろうが、欧米であろうが、必ず上位に食い込んでくる名門中の名門である。半世紀にわたって楽団を率いたメンゲルベルクの後、ベイヌム、ハイティンク、シャイー、ヤンソンスが首席指揮者を務め、2016年からは、ガッティが首席指揮者に就任することが決まっている。
 今回の公演で指揮台にのぼるグスターボ・ヒメノは、スペインのバレンシア生まれ。その知名度は、現在のところ高いとはいえないが、名門楽団の来日公演の指揮者に選ばれたのには、もちろん理由がある。2001~13年にこの名門楽団の首席打楽器奏者を務めたヒメノは、2014年1月にキャンセルしたヤンソンスの代役として、大成功を収めたキャリアの持ち主であり、2015年からルクセンブルク・フィルの首席指揮者に就任する注目株だ。
 チャイコフスキーのピアノ協奏曲第2番は、実演では滅多に接することができないが、両端楽章では超絶技巧の嵐が華麗に吹き荒れ、第2楽章にはピアノ、ヴァイオリン、チェロの三重奏が組み込まれているユニークな楽曲だ。人気沸騰中のユジャ・ワンのソロに期待しよう!メインの「悲愴」は、メンゲルベルクが十八番にしていた楽曲であり、芳醇でクオリティの高いサウンドを誇るロイヤル・コンセルトヘボウ管の特質を知り尽くしたヒメノが、楽曲が備えている熱いエネルギーを見事に解き放ってくれることだろう。名のある指揮者を無難に据えるのではなく、かつての仲間を選んだ名門楽団の心意気にも期待したい。

 

満津岡信育(音楽評論)

日程
2015年11月12日 (木)19:00 開演 (ロビー開場 18:00)
会場
コンサートホール
曲目

チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第2番 ト長調 op.44
  交響曲第6番 ロ短調 op.74 「悲愴」

出演

指揮:グスターボ・ヒメノ

ピアノ:ユジャ・ワン
管弦楽:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

プロフィール
グスターボ・ヒメノ(指揮) Gustavo Gimeno, Conductor
グスターボ・ヒメノ

© Marco Borggreve

スペインのバレンシア生まれ。2001年にロイヤル・コンセルトヘボウ管の首席打楽器奏者となってからアムステルダム音楽院で指揮を学び、マリス・ヤンソンスにその才能を見出され、彼の副指揮も務めた。さらに多くの公演でアバドやハイティンクの副指揮も務め、ミュンヘン・フィルを指揮してデビュー。モーツァルト管も振ったほか、2014年にはベルリン・ドイツ響やチューリヒ・トーンハレ管、バーミンガム市響も指揮し、2月にはコンセルトヘボウ管にヤンソンスの代役でデビューし、好評を得た。2012年からアムステルダム管のアーティスティック・リーダーおよび首席指揮者に就任、15年からはルクセンブルク・フィルの首席指揮者となる。ブーレーズ、リンドベルイ、ベンジャミン、エトヴェシュらの作曲家とも近しく仕事をしている。

ユジャ・ワン(ピアノ) Yuja Wang, Piano
ユジャ・ワン

© James Cheadle

1987年北京生まれ。2002年にはアスペン音楽祭の協奏曲コンペティションで優勝し、その後フィラデルフィアのカーティス音楽院でG.グラフマンに師事。今や完璧なコントロールを誇る超絶技巧、若さ溢れる大胆な想像力、自由奔放さと成熟したアーティスティックな精密さを兼ね備えた若手ナンバーワン・ピアニストとして絶大な評価と人気を誇る。“開いた口が塞がらない”とワシントン・ポスト紙は評した。バレンボイム、メータ、ドゥダメル、デュトワ、ゲルギエフ、マゼール、パッパーノ、テミルカーノフらの指揮のもと、シカゴ響、フィラデルフィア管、パリ管、ベルリン・シュターツカペレ、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、サンタ・チェチーリア管などの超一流オーケストラと共演している。アバド指揮ルツェルン祝祭管と北京で大成功を収めたことは記憶に新しい。2011年にはパリでベルリン・フィル首席奏者との室内楽公演を行い、またカーネギーホールではリサイタル・デビューを果たした。レコーディングはドイツ・グラモフォンと専属契約を結び、2009年のデビュー盤「ソナタ&エチュード」は“鮮やかなテクニックと生来の詩的素質との融合”とグラモフォン誌で絶賛されている。その後の録音もクラシックFMグラモフォン・アワード、エコー賞などの新人賞を獲得、グラミー賞にもノミネートされた。

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 Royal Concertgebouw Orchestra
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(RCO)は、世界屈指のオーケストラである。その類い稀な響きを、批評家たちは昔から褒めたたえてきた。RCOの弦楽器セクションは「ビロードのよう」、金管楽器セクションは「黄金の響き」、木管楽器の音質は「際だって個性的」と賞され、打楽器セクションには国際的な定評がある。この名声には本拠地コンセルトヘボウの類例のない音響も大いに寄与するところだが、そのメインホールでRCOのように響くオーケストラは、他にはない。1888年以来、オーケストラに多大な影響を与えてきた6人の首席指揮者の存在もまた欠くことができない。マリス・ヤンソンスは、2004年9月に6代目首席指揮者として迎えられた。歴代の首席指揮者は、ウィレム・ケス(1888年~1895年)、ウィレム・メンゲルベルク(1895年~1945年)、エドゥアルト・ファン・ベイヌム(1945年~1959年)、ベルナルト・ハイティンク(1963年~1988年)、リッカルド・シャイー(1988年~2004年)である。2016年には、ダニエレ・ガッティが首席指揮者の地位に就くことが決まっている。 これまでに、グスタフ・マーラー、リヒャルト・シュトラウス、イーゴル・ストラヴィンスキーといった著名な作曲家たちがRCOを指揮してきた。現在も、ジョン・アダムス、ジョージ・ベンジャミン、タン・ドゥン、それにオーケストラ専属の作曲家であるミシェル・ファン・デル・アー、デトレフ・グラナート、リシャルト・ラインフォスの3人と、緊密な協働関係を保っている。オーケストラを構成するのは20以上の国から選りすぐられた120人の楽員たち。大編成であるにも関わらず繊細なことは室内オーケストラ並みで、楽員たちは互いを聴きあい、協力して音楽を作り上げている。一人一人の力量の高さ、楽員相互の深い信頼感あってのことである。 アムステルダムのコンセルトヘボウにおける年間80回ほどのコンサートのほか、毎年世界各地40か所ほどの主要なホールで演奏している。ラジオおよびテレビ放送のおかげもあり、演奏の機会は増える一方である。これまでに、1100タイトル以上のLP、CD、DVDをリリース、その多くが国際的に高い評価を勝ち得ている。2004年には、独自のレーベル「RCO Live」を開始。2013年には125周年記念のワールドツアーを行い、1年のうちに6つの大陸を訪れた。さらに、iPad・iPhoneのための画期的なアプリ「RCO Editions」も提供が開始された。

主催:東京芸術劇場 (公益財団法人東京都歴史文化財団)

特別協賛:富士電機株式会社