僕らがこの世界に生きた、その証が欲しいんだ。～ブラジルの風は僕らに絆を取り戻してくれた～

現代の劇団の若者たちと、彼らが演じる太平洋戦争前後にブラジルへ移民した日本人たちの2重構造。 仲間との絆、そして生きることへの葛藤を描く。DステとＴＳの新鮮な組み合わせで魅せるミュージカル。

ある劇団が、前主宰者の追悼公演に向けて、合宿稽古を始めた。
24時間顔を突き合わせての作品作り。それは新しいリーダーである“吉村”の発案だった。

選ばれた作品は、ブラジルに生きた日系人たちの苦闘を描いた物語『GARANTIDO』。

その合宿に、客演として呼ばれた“紀元”は、劇団員たちとの共同生活を送る中で、仲間という言葉に、疑問を持ち始める。
無目的に流されるもの、或いは、自分の利益だけを心配する者…。
そんなメンバーたちが、果たして仲間と言えるのか？苦悩する吉村。
その姿を見ている紀元の脳裏にある光景が浮かぶ。それは、彼らが演じようとしている『GARANTIDO』。それは、太平洋戦争前後のブラジルで、アマゾン開拓を夢見て、アカラ州に移住した日本人たちが、1941年の真珠湾攻撃で始まった太平洋戦争によって、時代の荒波に呑み込まれていく、日本人であることに苦しみながらも、日本人であることに憧れ続けた日系人たちの姿だった…。