メインコンテンツにスキップ

TACT2026

『ファソラシどすこい!タコどすこい!』プログラムノート

東京芸術劇場の画像

昔々、1000年よりも、もっと昔に、お相撲がありました。
お相撲は、海からやってきました。
お相撲は、いつも音楽と一緒でした。
お相撲と音楽のやり方は、おばあちゃん、おじいちゃん、おかあさん、おとうさん、こどもたち……と、ずっと伝わっていきました。

 

ゲネプロより ©Ryohei Tomita
ゲネプロより ©Ryohei Tomita

おばあちゃんたちのやり方と、こどもたちのやり方は、ちょっとだけ違っていました。

おばあちゃんの頃は、「すっとこ、どっこい」と言っていたのに、
おとうさんの頃には、「とこ、どっこい」と言っていて、
こどもたちの頃には、「タコ、どすこい」になりました。

歌が伝わる時って、少し変わるんですよ。
でも、どれも間違いではありません。
親と子が似ているけれど違う、みたいなことです。
歌からもこどもが生まれていきます。

ゲネプロより ©Ryohei Tomita
ゲネプロより ©Ryohei Tomita

歌のこどもが生まれるためには、生きている歌が必要です。
そのために、私たちは土俵をつくります。
土俵とは、出会う場所、ぶつかり合う場所です。
ぶつかり合うと言っても、暴力ではありません。
相手のことを思いやり、相手を信じて、お互いが全力でぶつかるけれども、相手を傷つけない。
そういう場所が土俵であり、劇場なのです。
一人だけで考えないで、一緒にアイディアをぶつけ合うこと。
実際に体を動かし声を出してやってみること。

ゲネプロより ©Ryohei Tomita
ゲネプロより ©Ryohei Tomita

こうやって、昔の人から未来の人に伝わっていくことを、「のこった」とか「のこす」と言います。
お相撲や音楽などの「文化」を「のこす」と、未来の人に私たちが生きている空気が伝わります。
理不尽な暴力を乗り越える平和の知恵を、未来に「のこす」。
そうした願いを込めて、『ファソラシどすこい!タコどすこい!』を作りました。

不思議なこと、面白いこと、美しいこと、いろんなことが起こります。
びっくりしたり、怖かったりすることもあるかもしれません。
一人ひとりの感じ方は色々でしょう。
あなた自身の中に「のこる」ものが、あなたにとっての『ファソラシどすこい!タコどすこい!』です。
正解はありませんから、自分の感覚で味わって楽しんでください。

 

文:日本相撲聞芸術作曲家協議会
[JACSHA=Japan Association of Composers for Sumo Hearing Arts]
鶴見幸代、野村誠、樅山智子

一覧に戻る

関連記事