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芸劇dance

勅使川原三郎版「羅生門」


朽ちて崩れた門 陽は落ち 死体が重なる 鬼が笑う

日程
2021年08月06日 (金) ~08月08日 (日)
会場
プレイハウス

 2021年8月、勅使川原三郎+KARASはゲスト・ダンサーを迎えての新作を上演します。これまでも勅使川原は内外の多彩な文学作品に着想した数々のダンス作品を創作しています。今回取り上げるのは、近代日本文学を語るうえで欠かせない存在である芥川龍之介の、とりわけ多くの人々に読まれている短編「羅生門」──。その、芥川独特の文体をダンスで表現する、挑戦的な取り組みとなります。
 出演は勅使川原自身に加え、KARASの一員として勅使川原の創作で重要な役割を果たしている佐東利穂子、またハンブルクバレエのプリンシパルのアレクサンドル・リアブコがゲストとして登場、音楽では笙奏者の宮田まゆみが参加します(東京公演のみ生演奏で出演)。才能豊かなアーティストたちによる、新たな『羅生門』の誕生に、どうぞご期待ください。

勅使川原三郎よりコメント

『羅生門』をダンス作品にしようという試みは、私の他の創作と同様、単に物語をダンスでなぞって見せようということではない。芥川の『羅生門』は、平安時代の飢餓、疫病の時代に、生きる術を失い、困り果て、もうこれ以上どうしようもないほどに切羽詰まった人間を描いている。多くの死体が横たわる羅生門の中にぽつんと生き残った人間が、行くところもなく雨の滴る音を聞いている。そんな時ですら、人間には欲があり、どこかに善悪の観念があり、そして裏切りがあり、葛藤があるということが面白く、また滑稽でもある。貧しさの、最低の状況にこそ、鮮明に見えてくる何かがある。私は、羅生門の「鬼伝説」に立ち返るとともに、芥川の筆跡、その文体を、ダンスとしてどう表すことができるか、探っていきたい。

勅使川原三郎

物語

雷鳴がとどろき、激しい雨が降りしきる。捨てられた 死体が重なる、禍々しい空気に満ちた羅生門。そこに、一人の下人が駆け込んでくる。下人の目が捉えたのは、横たわる女の死体から、髪の毛を一本、また一本と抜いている老婆の姿だ。抜いた髪の毛でかつらを作り、売るという老婆。その忌まわしい行為に強く嫌悪した下人は、老婆を殺し、着物を奪い逃げる。その悪事のすべてを見ていたのは、鬼だ。鬼は下人を逃さなかった。聞こえてくるのは、断末魔の恐怖の叫びか、恍惚の吐息か。羅生門の闇が、動き出し──、夜明けの冷たい光に溶けてゆく──。

日程

2021年8月6日(金) – 2021年8月8日(日)
2021年08月06日 (金) ~08月08日 (日)

ステージ数

3

会場

プレイハウス

作・演出等

原作:芥川龍之介『羅生門』より
演出・構成・振付・照明・美術・音楽構成:勅使川原三郎
アーティスティックコラボレーター:佐東利穂子

出演

勅使川原三郎、佐東利穂子、アレクサンドル・リアブコ(ハンブルク・バレエ団)、
宮田まゆみ(笙演奏)

勅使川原三郎
photo by Akihito Abe

佐東利穂子
photo by Akihito Abe

アレクサンドル・
リアブコ
photo by Kiran West

宮田まゆみ(笙)
photo by Akihito Abe

主催:有限会社カラス

共催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場

助成:文化庁ロゴマーク

文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)|
独立行政法人日本芸術文化振興会

企画制作:KARAS
共同企画:愛知県芸術劇場
後援:ドイツ連邦共和国大使館

ドイツ連邦共和国大使館

手荷物検査を実施しております。お時間に余裕を持ってご来場ください。

インフォメーション

[愛知公演]

2021年8月11日(水)

愛知県芸術劇場