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東京芸術劇場コンサートオペラvol.7

ドビュッシー/『放蕩息子』&ビゼー/歌劇『ジャミレ』*演奏会形式(日本語字幕付・原語上演)

ドビュッシー/『放蕩息子』&ビゼー/歌劇『ジャミレ』*演奏会形式(日本語字幕付・原語上演)

若きドビュッシーの天才的な閃きと魅力的なアリアや親しみやすい美しいメロディーに溢れた、ローマ大賞受賞作『放蕩息子』。実演を聴いたブラームスが「音楽そのものが全てにおいて素晴らしい作品」と激賞し、早世の天才ビゼーが『カルメン』、『アルルの女』などの傑作を残す晩年期に作曲した知られざる名曲、歌劇『ジャミレ』。芸劇コンサートオペラシリーズで2017年絶賛を博した『真珠とり』の続編として、待望の公演決定!


19世紀のフランスは「地方色」の天下。それは、革命前の古典悲劇が「どの時代の、どこのドラマも当代の宮廷衣裳で演った」ことへの反動である。絶対王政下では「人間の心の動きは、いつの世も、場所を問わず同じ」だと考えた。しかし、近代の市民層は「観たこともない風景を、歌劇場で眺めてみたい」と感じるようになった。それゆえ、外交に重用されるオペラ座でも家族で楽しむコミック座でも、地方色満載のオペラが愛されたのだ。
そこに出現したのが天才ビゼー。異国情緒を大得意とした彼は、《カルメン》のスペインのみならずロシアもスリランカもスコットランドも音で造型したが、小品の《ジャミレ》も、カイロの王子と女奴隷の愛をテーマに、とぼけた明るさとしなやかな官能性を帯びた見事なオペラに。今回は、聖書に由来するドビュッシーのカンタータ《放蕩息子》と並べて上演するという。中世エジプトと古代ユダヤの物語を、ひときわ潤いあるメロディで堪能してみよう。

岸純信(オペラ研究家)

日程
2019年10月26日 (土)14:00 開演(ロビー開場13:00)
会場
コンサートホール
曲目
ドビュッシー/『放蕩息子』
ビゼー/歌劇『ジャミレ』
出演

指揮:佐藤正浩
管弦楽:ザ・オペラ・バンド
コーラス:国立音楽大学合唱団

■ドビュッシー/『放蕩息子』
リア(母):浜田理恵
シメオン(父):ヴィタリ・ユシュマノフ
アザエル(放蕩息子):宮里直樹

■ビゼー/歌劇『ジャミレ』
ジャミレ(女奴隷):鳥木弥生
アルーン(王子):樋口達哉
スプレンディアーノ(使用人):岡昭宏

プロフィール
佐藤正浩(指揮)

東京芸術大学、ジュリアード音楽院を経てサンフランシスコ・オペラのコーチに就任。また、ケント・ナガノ氏の推薦でリヨン国立歌劇場の首席コレペティトールとなり活躍する。2000年から指揮活動を開始、イギリス・ダーティントンでモーツァルト『イドメネオ』、R.シュトラウス『ナクソス島のアリアドネ』を指揮。新国立劇場でグルック『オルフェオとエウリディーチェ』、プッチーニ『トスカ』、東京オペラプロデュース『放蕩物のなりゆき』、ひろしまオペラルネッサンス『カルメル修道女の対話』、三善晃『遠い帆』等を指揮し注目を集める。
東京芸術劇場コンサートオペラシリーズでは『ドン・カルロス』(パリ初演版日本初演)、『サムソンとデリラ』、『真珠とり』を指揮し、大きな成功を収めた。オペラ彩主催、ヴェルディ『ナブッコ』で三菱UFJ信託音楽賞、会津でのオペラ『白虎』(初演)で佐川吉男音楽賞を受賞。

浜田理恵(『放蕩息子』リア(母))

東京芸術大学大学院修士課程終了(中村浩子氏に師事)後、パリに留学、ガルシザンズ氏に声楽を、アイトフ氏にフランス歌曲を学ぶ。第19回パリ国際声楽コンクールオペラ部門第一位他受賞。フランスを中心に数多くのオペラに出演。ブーレーズ率いるアンサンブル・アンテルコンタンポランとザルツブルク音楽祭を含むヨーロッパツアーも行う。日本では、新国立劇場オペラ等にしばしば招かれると共にN響を始めとする各地のオーケストラとの共演も多い。1997年出光音楽賞受賞。現在、東京藝術大学准教授、御茶ノ水女子大学非常勤講師、フランス在住。

ヴィタリ・ユシュマノフ(『放浪息子』シメオン(父))

©Masaaki Hiraga

サンクトペテルブルク生まれ。マリインスキー劇場の若い声楽家のためのアカデミーで学ぶ。ライプツィヒのメンデルスゾーン・バルトルディ音楽演劇大学を卒業。2013年以来、度々来日し各地で演奏。2015年より日本に拠点を移す。CDも「ありがとう」を風にのせて~日本名歌曲集~(オクタヴィア)など3枚をリリース。2018年にはプレトニョフ指揮、ロシア・ナショナル管と歌劇『イオランタ』にエブン=ハキア役で出演。2019年には『ドン・ジョヴァンニ』でタイトル・ロールとして全国4公演に出演した。日本トスティ歌曲コンクール第1位、日伊声楽コンコルソ第1位ほか受賞歴多数。現在、藤原歌劇団団員。

宮里直樹(『放浪息子』アザエル(放蕩息子))

©深谷義宣/auraY2

東京藝術大学声楽科首席卒業。同大学院修了。声楽を多田羅道夫、ラルフ・デーリングの各氏に師事。明治安田QOL奨学生。RMF奨学生。ウィーン国立音楽大学オペラ科にて2年間学ぶ。N響を始めとする国内主要オーケストラと共演。『ラ・ボエーム』ロドルフォ、『愛の妙薬』ネモリーノ、『椿姫』アルフレード、『蝶々夫人』ピンカートン、『トスカ』カヴァラドッシ、その他多数のオペラに主役にて出演。第23回リッカルド・ザンドナーイコンコルソ第2位。第48回日伊声楽コンコルソ第1位。五十嵐喜芳賞、歌曲賞受賞。その他受賞歴多数。二期会会員。

鳥木弥生(『ジャミレ』ジャミレ(女奴隷))

東欧各地で演奏活動を開始。第1回E.オブラスツォワ国際コンクールに入賞し、マリインスキー歌劇場において、G.ノセダ指揮同劇場管弦楽団と共演。日本では岩城宏之指揮、ファリャ『恋は魔術師』でデビュー。 02年フィレンツェ歌劇場公演『ジャンニ・スキッキ』ツィータでオペラデビュー。07年文化庁研修生として渡仏し、J.レイスに師事。プッチーニ『外套』フルーゴラ(ルッカ他)、ビゼー『ジャミレ』主演(クレルモン=フェラン)、プッチーニ『蝶々夫人』スズキ(バルセロナ他)など各地での出演で好評を得ている。ビゼー『カルメン』、プーランク『カルメル会修道女の対話』マリーなどのオペラに加え、ベートーヴェン『第九』、ストラヴィンスキー『プルチネッラ』フォーレ『ペレアスとメリザンド』、ヴェルディ『レクイエム』など幅広いレパートリーで活躍。全国共同制作・笈田ヨシ演出『蝶々夫人』等、出演作の放映も多数。2015年「岩城宏之音楽賞」受賞。

樋口達哉(『ジャミレ』アルーン(王子))

©Fukaya Yoshinobu

武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。エンリーコ・カールソー国際声楽コンクール最高位。ハンガリー国立歌劇場『ラ・ボエーム』ロドルフォで欧州デビューし、ミラノ・スカラ座など欧州各地で活躍。国内では新国立劇場をはじめ数々の舞台で活躍。17年には二期会『トスカ』カヴァラドッシ、日生劇場『ラ・ボエーム』ロドルフォを演じ大絶賛された。男声ユニットThe JADE(ザ・ジェイド)メンバー。本年10月東京二期会『蝶々夫人』ピンカートンで出演予定。二期会会員。

岡昭宏(『ジャミレ』スプレンディアーノ(使用人))

香川県出身。国立音楽大学音楽学部声楽科卒業。東京芸術大学大学院声楽専攻修士課程修了。新国立劇場オペラ研修所第10期生修了。平成22年度、文化庁新進芸術家海外研修制度研修生としてイタリア、ジェノヴァに国費留学。第44回イタリア声楽コンコルソ 第1位シエナ大賞受賞、第12回東京音楽コンクール第1位及び聴衆賞。竹内肇、小林一男、折江忠道、直野資、アルベルト・クピード、黒田安紀子の各氏に師事。2010年にはPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)に参加し、『ラ・ボエーム』マルチェッロ役にて世界的指揮者であるファビオ・ルイージ氏と共演。2012年イタリア、ジェノヴァにてドン・カルロのロドリーゴ役にてイタリアデビューを果たす。

ザ・オペラ・バンド

2005年、東京オペラグループ『フィガロの結婚』上演時に、佐藤正浩(指揮)と今野京(コントラバス奏者)により設立された。Orchestre”Les Champs-Lyrics”の名称で活動してきたが、2015年の10周年を機に“ザ・オペラ・バンド”に変更。オーケストラ・ピットに入り演奏することを目的とし、首都圏プロオーケストラ演奏家を中心に編成される。これまでに、『フィガロの結婚』『コシ・ファン・トゥッテ』『蝶々夫人』『ナブッコ』『オテッロ』『仮面舞踏会』『マクベス』『マリア・ストゥアルダ』『ゼッキンゲンのトランペット吹き』『白虎』(加藤昌則)、2014年東京芸術劇場『ドン・カルロス(仏語版日本初演)』、2016年『サムソンとデリラ』、2018年『真珠とり』などに出演し、精緻なアンサンブルと華麗なドラマを聴かせると好評を得ている。中でも『ナブッコ』、『マリア・ストゥアルダ』で三菱UFJ信託音楽賞を、オペラ『白虎』で佐川吉男賞を受賞、演奏担当をした。

主催:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)

助成:文化庁ロゴマーク

文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|
独立行政法人日本芸術文化振興会

公益財団法人朝日新聞文化財団

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